ビタミンC関連文献

ビタミンCの生理学的特徴について

Vitamin C: the known and the unknown and Goldilocks

SJ Padayatty. Oral Diseases (2016) 22, 463-493 doi: 10. 111/odi. 12446




ビタミンC欠乏症状は、11.4μM(0.2mg / dl)未満で起こると考えられている。(Jacob et al、1987; Schleicher et al、2009)



ビタミンCが関与しての、酸化剤としての働き:

1. ビタミンCが銅や鉄などの金属を還元

2. ビタミンCがスーパーオキシドや過酸化水素を形成

3. スーパーオキシドなどは活性酸素種を生成する



これらの反応は、ミリモル濃度の血漿、細胞外液でインビボ(生体内)で起こる。(金属が存在すればVCが生理学的濃度で存在する細胞培養培地でも起こり得る(Parrowら2013)。)



アスコルビン酸は電子を一つ失い、アスコルビン酸ラジカルに、2つ失うとDHAになる。

・アスコルビン酸ラジカルは(酸素や鉄などの電子受容体が存在しない場合)、半減期が数秒〜数分にもなる(Buettner、1993)。通常のラジカルは1ミリ秒くらい。

・DHAはより安定しており、半減期は数分。DHAはグルコーストランスポーター(GLUT)で輸送される(Rumsey et al、1997、2000a; Corpe et al、2013)。

・DHAとアスコルベートラジカルいずれも可逆的にアスコルビン酸に還元されるが、DHAの環構造が失われ、2,3-ジケトグロン酸になると不可逆となる



ビタミンCが還元剤として働く酵素(Englard and Seifter、1986; Levine、1986、Levine et al、2006)

・モノオキシゲナーゼ

① ドーパミンb-ヒドロキシラーゼ

② ペプチジルグリシンアミド化モノオキシゲナーゼ・ジオキシゲナーゼ

③ プロリル4−ヒドロキシラーゼ(6種)

④ プロリル3−ヒドロキシラーゼ

⑤ リシルヒドロキシラーゼ

⑥ アスパラギニルヒドロキシラーゼ

⑦ トリメチルリジンヒドロキシラーゼ

⑧ c−ブチロベタインヒドロキシラーゼ

⑨ 4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ

⑩アミンオキシダーゼ



酵素 酵素の働き
哺乳類の酵素  
ドーパミンb-モノオキシゲナーゼ ノルエピネフリン生合成(Levine et al、1991)
ペプチジルグリシンα-アミド化モノオキシゲナーゼ ペプチドホルモンのアミド化(Prigge et al、1999)
 
プロリル4-ヒドロキシラーゼ コラーゲンヒドロキシル化(Prockop and Kivirikko、1995)
  コーラゲンアイソザイム(3種類)
プロリル3-ヒドロキシラーゼ
リシルヒドロキシラーゼ
 
プロリル4-ヒドロキシラーゼ 低酸素誘導因子(HIF)水酸化(Myllyharju、2008年)
  低酸素誘導因子(HIF)アイソザイム(3種類)
 
アスパラギニルヒドロキシラーゼまたはFIH-1(HIF阻害因子) HIFの調節(Dann et al、2002; Lando et al、2002)
 
トリメチルリジンヒドロキシラーゼ カルニチン生合成(Rebouche、1991a)
γ-ブチロベタインヒドロキシラーゼ
 
4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ チロシン代謝(Lindblad et al、1970)
 
フラビンアデニンジヌクレオチド依存性アミンオキシダーゼ ヒストン脱メチル化(Tsukada and Zhang、2006)
  (リジン特異的デメチラーゼ1)
 
真菌酵素  
デオキシウリジン10-ヒドロキシラーゼ ピリミジンまたはデオキシヌクレオシドのデオキシリボース
チミン7-ヒドロキシラーゼ 部分の再利用経路(Stubbe、1985; Wondrack et al、1978)
ピリジンデオキシリボヌクレオシド20-ヒドロキシラーゼ  


詳細:

① 神経系、副腎ノルエピネフリン合成に必要(Levine et al、1941b)。合成反応でビタミンCは消費される(Stewart and Klin man、1988; Fleming and Kent、1991)

② 視床下部や消化管ホルモンなどの分泌小胞にあり、ビタミンCを消費する(Prigge et al, 2000)。ペプチドホルモンを活性化させるために必要(Glembot-ski、1986; Eipper and Mains、1991; Priggeら、2000; Kumarら、2015)

⑦、⑧リシンおよびメチオニンからのカルニチン合成に必要(Dunn et al、1984)

⑩ チロシンの異化作用に必要で(Lindblad et al、1970)、アスコルビン酸が欠乏すると、チロシン異化障害によりチロシン血漿中濃度が増加する(Levine et al、1941a; Englard and Seifter、1986)



コラーゲンの水酸化:

アスコルビン酸欠乏で起こる壊血病の症状には、創傷治癒の遅れ、歯肉の緩みがあるが、これらは正常な結合組織が作られないことを示している(Crandon et al、1940; Lind、1953; Hirschmann and Raugi、1999)。

ビタミンCは、プロコラーゲンの酵素反応を触媒し(Peterkofsky、1991、Kivirikko and Myllyla、1985; Prockop and Kivirikko、1995)、結合織の強度を高める。

(小胞体で合成されたプレコラーゲンのプロリンは3-ヒドロキシプロリンまたは4-ヒドロキシプロリンへ、リジンはヒドロキシリジンにヒドロキシル化されるが、この時に酵素として働くプロリル3-ヒドロキシラーゼ、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、リシルヒドロキシラーゼの補酵素がビタミンCである。(Peterkofsky、1991; Prockop and Kivirikko、1995; Pekkalaら、2003)



・ヒドロキシル化がないと、プロコラーゲンの分泌は減少する(Peterkofsky、1991)。

・ビタミンCがなくてもいくらかのヒドロキシル化が起こる可能性があります(Parsons et al、2006)。

・またこの反応とは別に、アスコルビン酸はコラーゲン合成を刺激することも示されている(Geesinら、1988; Sullivanら、1994)。



HIF-1の水酸化:

HIF-1aはHIF-1bと二量体を形成し、DNAに結合して標的遺伝子の転写を活性化させ(Dengler et al、2014)、発癌などとの関連が認められているが、アスコルビン酸はHIF-1aを水酸化し、プロテアソームによる分解の標的とする(Dengler et al、2014)。

また、培養細胞中のアスコルビン酸欠乏はヒドロキシル化を阻害し、HIF-1aを安定化させ(Kaczmarek et al、2007)、逆にアスコルビン酸を投与すると、細胞培養中のHIF-1活性は阻害され、HIF-1刺激に特異的な遺伝子転写は妨げられた(Kuiperら、2014; Vissersら、2007)



低酸素下でもHIF-1aのヒドロキシル化が阻害され、HIF-1aが安定化する。またHIF-1は様々な疾患に置いて、赤血球生成の抑制に寄与している(Franke et al、2013)。肺疾患(Shimoda and Semenza、2011)。心臓病(Semenza、2014)。糖尿病(Catrina、2014; Ichiki and Sunagawa、2014)。そして癌(Semenza、2013; Borsi et al、2015)



HIF-1はFIHにより阻害され、負に調整されているが、FIHはヒドロキシラーゼであり、アスコルビン酸を必要とする(Flashman et al、2010)。

ビタミンCの細胞への取り込み・体内動態:


・ビタミンCは、ナトリウム依存型ビタミンCトランスポーター(SVCT)1および2で細胞内に取り込まれる。

・SVCT1は腸管、腎尿細管、そして肝臓に存在し、ビタミンCを吸収する。SVCT1ノックアウトマウスは、糸球体でビタミンCを吸収できない(Corpe et al、2010)

・SVCT2は身体中に広く分布しており、ビタミンCの主要な輸送体である。その理由は、SVCT2ノックアウトマウスは出生時に死亡し、胎児組織は全ての組織で非常に低いビタミンC濃度を示す(Sotiriou et al、2002)ためである。

・マウスなどのビタミンC合成動物でも、初期の胎児はビタミンC合成できず、母親からの胎盤輸送(胎盤のSVCT2)に頼っている。胎盤ビタミンC輸送は、母体側より胎児側の方がビタミンC濃度が高く維持される(母体血よりも臍帯血の方が高い)。





アスコルベートリサイクル

・細胞外でのビタミンCからDHAへの酸化→DHA輸送→細胞内での即時的なビタミンCへの還元のプロセス(Washko et al、1993)





酸化アスコルビン酸(DHA)

・DHAはGLUTによって輸送される(Corpeら、2013年; Rumseyら、1997年、2000a; Veraら、1993)

・前駆赤血球細胞にはSVCT2トランスポーターがあるが、成熟の過程で失われるため、DHA輸送は赤血球の唯一のビタミンCトランスポーターである。

・赤血球のビタミンC濃度は血漿中よりわずかに低い(Evansら、1982年;Jacobら、1987年;Liら、2012年)

・24時間保存されたヒト全血と、赤血球を分離した血漿サンプルでは、全血の方がビタミンCが安定しており(Dhariwal et al, 1991b)、RBCのビタミンCは血漿中のアスコルビン酸ラジカルを維持するためであると考えられる。

・高血糖ではin vitroおよびin vivoで、赤血球へのビタミンC輸送が阻害される(Tu et al、2015)。



・現在、DHAを正確に測定する直接的な方法はない。(アスコルビン酸を測定し、次いでサンプルが減少した後にアスコルビン酸を再測定することで差を計算している。)



・ビタミンCは、細胞内から、胃液、脳脊髄液、房水に分泌され、これらは血漿中よりも高いビタミンC濃度となっているが、ビタミンCの細胞内から細胞外への排出トランスポーターは同定されていない(Eck et al、2013)。



ビタミンC血漿中濃度:

・2003年から2004年の米国7277人の調査(6歳以上)

(Schleicherら、2009年; Chenら、2006年; Tuら、2015年)

平均血漿中ビタミンC濃度は男性で48μM、女性で54.8μM。
男性の8.2%および女性の6%で11.4μM未満(壊血症レベル)
これらは、男性の喫煙者の18%、非喫煙者の5.3%、女性の喫煙者の15.3%および非喫煙者の4.2%であった。


・心筋梗塞(Humeら、1972年; Riemersmaら、2000年)、急性膵炎(Bonhamら、1999年; Scottら、1993年)、敗血症(Fowlerら、2014年)、および重症患者(Berger and Oudemans-van Straaten、2015)ではビタミンC濃度が低くなっている。



・ビタミンCは腎臓によって排泄されるため、腎不全で蓄積する可能性があり、また血液透析中に透析液中で排泄される(Balckeら、1984年; Claseら、2013年; Handelman、2011年; SullivanおよびEisenstein、1970年)




口腔環境とビタミンC:

・モルモットにおいて、ビタミンC欠乏していても(Hornigら、1972年)、いなくてもなくても(Hornigら、1974年)、標識されたビタミンCが、耳下腺および顎下腺に蓄積され、歯周組織および歯髄に取り込まれることが観察されている。

・ラット耳下腺の腺房細胞の分泌顆粒はミリモル濃度のビタミンCを含み、アミラーゼと共に分泌される(Vonzastrow et al、1984)。



・ヒトにおける唾液中ビタミンCは、検出不可能な濃度(Fellerら、1975年)から、血漿濃度に近いかそれより高い濃度までの幅広い結果となっている。

(Anonymous, 1986, Bates et al, 1972; Buduneli et al, 2006; Diab-Ladki et al, 2003; Feller et al, 1975; Gumus et al, 2009; Leggott et al, 1986a,b; Liskmann et al, 2007; Makila, 1968; Makila and Kirveskari, 1969; Moore et al, 1994; Rai et al, 2007, 2011; Saral et al, 2005; Schock et al, 2004; de Sousa et al, 2015; Vaananen et al, 1994)



・ビタミンCの摂取で、唾液中のビタミンC濃度は数時間以内に上昇する(Makila and Kirveskari、1969)



・唾液中のアスコルビン酸と血漿アスコルビン酸濃度が相関すると予想されたが、唾液中のアスコルビン酸濃度は不変であった(Leggott et al, 1986b)。

(サンプル処理や分析法が現代とは異なるため、新しい結果が出てくる可能性あり。)



・健康な男性を対象としたビタミンCの枯渇と補充(および再枯渇)をみた試験では、低ビタミンC血症は、歯周病とは関連していなかったが、歯肉の炎症と出血とは関連していた(Leggott et al, 1986a)。

・最近の研究では、SVCT1のSNPと重症歯周炎の間に関連性が発見された(de Jong et al、2014)





ビタミンCと酸蝕歯:

・経口ビタミンC投与による酸蝕歯の報告(Giunta、1983; Imfeld、1996)

・唾液pHは、チュアブルビタミン錠剤(またはウエハース)投与後、2.5分で7から4.5まで低下した(Hays et al、1992)。

・健康な被験者では、1週間のビタミンC摂取で、口腔洗浄をしなくても歯の変化は認められなかった(Meurman and Murtomaa、1986)

・しかしビタミンCの慢性的な摂取は、歯のエナメル質を侵食する可能性がある。

・スクロース含有ビタミンCシロップも、酸蝕歯を引き起こす可能性が示唆されている(Woods、1981)





好中球:

ヒト好中球が大腸菌、エンテロコッカス・フェカリス、モラクセラ・カタラーリス、クレブシエラ・オキシトカ、アシネトバクター・バウマニ、Cアルビカンス株に曝されると活性化され、周囲の培地からビタミンCが枯渇するまで、急速に蓄積する(Wang et al、1997; Washko et al、1993)



赤血球:

・赤血球は、血漿ビタミンC濃度を安定化しているが、アスコルビン酸による赤血球膜を横切る電子のやり取りに、電子伝達系タンパクが役割を果たしている可能性がある(Mayら、2000年; Suら、2006年; VanDuijnら、2000年)。)

・このタンパクはアスコルビン酸合成動物にはないが、ヒトなどビタミンCを合成できない種に存在する。



副腎:

・ヒトの副腎は、ビタミンC濃度が非常に高く、ACTHに反応して数分以内にビタミンCを分泌開始、終了する。これはコルチゾールの分泌に先行する(Padayatty et al、2007)。副腎静脈のビタミンC濃度のピークは血漿濃度の約5倍に達する。



・動物の精巣および卵巣では、プロスタグランジンなどのホルモン刺激でもビタミンCが分泌されることが示されている(Guarnacciaら、2000年; Kobaら、1971年; Petroffら、1998年)



疲労:

・NIHによる枯渇- 補充研究では、血漿中濃度が約20μM未満のときに疲労が生じた(Levine et al、1996b; Padayatty and Levine、2001a)

TET2とビタミンCのエピジェネティックな関係

TET2とビタミンCのエピジェネティックな関係

ビタミンCとTET2の関連について、わかりやすく!



ビタミンCが培養中のTET酵素の活性を促進する(1)ということがわかっており、最近の研究で、ビタミンCはTET2と同じように、TET2欠損マウスおよびヒト細胞の造血を回復させる(2,3)ということが発見された。



そもそもTET2って?

・腫瘍抑制遺伝子(4,5)で、多くの血液悪性腫瘍(6,7,8)や他の腫瘍型(9-11)でダウンレギュレーションが認められている。TET2ダウンレギュレーションの一部は予後不良で、生存率が低下することが認められている(12-14)。

それが、膠芽腫でも認められた(15)ので、『ビタミンC点滴を補助治療として続けた膠芽腫の1例』の論文が出た、という経緯。



・α-ケトグルタレートおよびFe2 +依存性ジオキシゲナーゼで、ビタミンCはこれらの補酵素





・5-メチルシトシン(5mc)が酸化され、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmc)、5-ホルミルシトシン(5fc)、および5-カルボキシルシトシン(5Cac)になるのを触媒する。



・5hmc, 5fc, 5CacはDNAの脱メチル化の重要な中間体であり、BER(塩基除去修復:DNA塩基の損傷を修復する)を行う。



・TET2のダウンレギュレーションはDNAの過剰メチル化と関連し、造血幹細胞の異常な自己再生が起こり癌化が促進される(2)





・ビタミンCはα-ケトグルタレートおよびFe2 +依存性ジオキシゲナーゼの補酵素であり、TET2の働きを戻すが、造血幹細胞は他の前駆細胞に比べて、20倍、Slc23a2トランスポーターを発現しており、ビタミンCそれを介して細胞内に入る。



・また、PARPはBERの必須メディエーターであるが、ビタミンCにより機能が戻ったTET2はRAPR阻害の感受性を高める(RAPR阻害剤であるオラパリブは、ビタミンCとの併用でより強い白血病細胞への殺傷能が示された(2)。



・FLT3-ITD(細胞増殖に促進的な遺伝子変異)マウス、およびFLT3ITDとTET2変異の両方をもつマウスで、ビタミンC欠乏が白血病化を促進することも示されている(3)。





Blaschke K, Ebata KT, Karimi MM, et al. Vitamin C induces Tet-dependent DNA demethylation and a blastocyst-like state in ES cells. Nature. 2013;500:222-226
Cimmino L, Dolgalev I, Wang Y, et al. restoration of TET2 function blocks aberrant self-renewal and leukemia progression. Cell. 2017;170:1079-1095.e20.
Agathocleous M, Meacham CE, Burgess RJ, et al. Ascorbate regulates haematopoietic stem cell function and leukaemogenesis. Nature. 2017;doi: 10.1038/nature23876. [Epub ahead of print].
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こちらのHP参照:http://www.hematology.org/Thehematologist/Diffusion/7877.aspx

IVCの膵癌Ⅲ/Ⅳ期に対するPhaseⅠ/Ⅱ試験、膵癌マウスに対する腫瘍縮小/転移予防効果

High Dose parenteral Ascorbate Inhibited Pancreatic Cancer Growth and Metastasis: Mechanisms and a Phase 1/2 study

Kishore Polireddy et al. Scientific Reports 7, Article number: 17188 (2017)




マウスのでアスコルビン群が腫瘍縮小効果、転移予防効果があった結果の後、いよいよPhase1/2です。

もちろんこれだけではなんとも言えませんが、OSが15ヶ月って倍(6~7ヶ月から)になってるし、そもそもPFS3ヶ月って、膵癌Ⅲ/Ⅳ期だとすごく良い印象ですよね。3ヶ月後のフォローのCTで変化なかったらびっくりしますもんね。





PANC-1腫瘍マウス:

・アスコルビン酸群:4g / Kg体重/日の腹腔内(IP)投与、45日間(静脈注射により1.3g / Kg と同等)

・ゲムシタビン群(3日毎、40mg / kg、IP)

・AscとGem併用群  に割付け、画像で腫瘍増大を検討した。



・ゲムシタビン群では腫瘍増殖は阻害されなかったが、Asc単独群では、腫瘍の増大は有意に減少された(図4A、B)。

・併用群は対照群とGem単独群と比較して有意な腫瘍増殖阻害を認めたが、Asc単独群と比較して差はなかった。

・腫瘍重量、転移の数も、アスコルビン酸単独群、併用群はコントロール群に比して優位に少なかった(図4C)。

・ゲムシタビン単独群はいずれも優位な効果を示さず、併用群はアスコルビン酸単独群に対して優位な効果はなかった。

・またAsc(単独、併用)群において、細胞増殖の指標である増殖細胞核抗原(PCNA)(図4E)、有糸分裂の指標であるH&E染色(図4F)はいずれも有意に減少し、コラーゲン含量は腫瘍間質において大幅に増加した(図4G)。

・コラーゲン遺伝子発現は対照群(P = 0.001および0.00003)と比較して有意に増加。

・ゲムシタビン単独ではコラーゲン遺伝子発現は増加しなかった(P = 0.08)。Gem + Asc群はGem群と比較して有意に増加した(P = 0.05)。





Phase 1/2:膵癌Stage Ⅲ/Ⅳ

14人の登録被験者のうち12人がPhase1を完了、続いてPhase IIaに登録。週3回IVCと、ゲムシタビンを併用した(表S4)。

・治療期間は69~556日

・アスコルビン酸は15gから開始し、血漿アスコルビン酸濃度を約350mg / dLを目標に、50〜125g で投与された。



結果:

・50%(6/12)は1年以上生存し、8.3%(1/12)は診断後2年以上生存した。

・全生存期間中央値(OS)は15.1ヶ月(図5A)。

・無増悪生存期間中央値(PFS)は3か月。

・IVCに起因する有害事象は、グレード1の悪心および喉の渇きでのみだった。



1人の患者(#8)はフォルフィリノックス治療で効果が認められず、腫瘍が動脈を噛んでいたため手術適応ではなかったが、IVCとゲムシタビン9サイクル後、腫瘍の縮小が認められ、手術が施行された 。

膵がんに対するビタミンCの効果と機序

High Dose parenteral Ascorbate Inhibited Pancreatic Cancer Growth and Metastasis: Mechanisms and a Phase 1/2 study

Kishore Polireddy et al. Scientific Reports 7, Article number: 17188 (2017)




今日は膵癌に対するQi Chen先生のグループからの論文です。とても読み応えがある面白い論文です。

VCの薬理学的濃度に暴露された膵癌細胞においてNAD+が枯渇することにより、

・ATPが減少し細胞毒性が発現

・NAD+が、αチューブリンの脱アセチル化酵素(Sirt2)の補酵素であることから、VCはαチューブリンのアセチル化を増加させること

が報告されています。



つまり、腫瘍細胞の有糸分裂や運動性を阻害することで、細胞増殖や転移を防ぐ効果が期待される、ということです。

(*わかりにくいので追記しますが、αチューブリンが脱アセチル化すると、癌化や転移を促進すると言われていますが、ビタミンCはアセチル化することで、それを濃度依存性に 防ぐよ、という内容です)



背景:

膵臓がんでは、ゲムシタビン単独またはゲムシタビンとEGFR阻害剤、エルロチニブと、IVCを併用(毎週50~100g /注入2~3回)した群での小規模試験が2つ報告されているが、Montiら11)およびCullenら12)、いずれもIVCは化学療法に対する毒性を増加させず、モンティの試験では、9人の患者のうち8人が治療8週間後に腫瘍が縮小し、カレンの試験では、Nが非常に小さかったにもかかわらず、OSが対照群に比べ倍増した。



最近のトピックとして、アスコルビン酸がKRASおよびBRAF突然変異大腸癌細胞に対して優先的な細胞毒性効果を有することを示されているが(14)、膵癌でも90%以上にKRAS突然変異が存在する(15)ため、膵臓癌に対する治療効果も期待されている。



他のがんでも、卵巣癌ステージ3,4において、化学療法(パクリタキセル/カルボプラチン化学療法)VS 化学療法+IVC(75-100g /注入、週2回、1年間)のパイロットスタディが行われ(9)、IVC処置は化学的関連毒性を有意に減少させ、統計的に優位ではなかったが、疾患の進行/再発の中央値は8.75カ月延長された。



非小細胞肺癌(NSCLC)および多形神経膠芽細胞腫(GBM)においても同様の良好な忍容性が報告されている(13)。



結果:

1. 8つのタイプのヒトすい臓がん細胞と1つのマウスすい臓がん細胞(KRASやP53変異を伴う一般的なもの)に対してアスコルビン酸(〜20mM)暴露させ(19)、多くが細胞数が減少したが(IC50値は5mM未満だった)、逆にカタラーゼ添加では減少しなかった。



2. 1mM濃度(亜細胞毒性)では、細胞生存数は変わらなかったが、遊走性、浸潤性を阻害できた。

・膵癌は上皮間葉移行(EMT)で浸潤することが多いが、 EMTマーカー(Snail)や間葉マーカー(Vimentin and N-cadherin、MMP)がVCで減少(図1D,E)⇨EMTの減少

・膵癌PANC-1細胞において、VCは容量依存性にMMP-2の発現を低下させ、MMP-2によるゼラチン分解活性も容量依存的に減少させた。(図1G)



3. 細胞毒性〜亜細胞毒性濃度(1.25〜2.5mM)で、膵癌細胞(PANC-1およびBxPC-3細胞)では容量依存性にαチューブリンアセチル化が認められた(図2A,B)が、非癌性膵管上皮細胞hTERT-HPENでは最小限で、H2O2処理ではVCと同様の結果だった(図2B)

⇨αチューブリンを安定化させるVCの作用が薬理学的濃度でのH2O2に依存していることを示す。



4. PARPはNAD+を利用する(31)が、PANC-1およびBxPC-3細胞ではVCは容量依存性にNAD+レベルの低下を引き起こし(図2C)、それに伴いATPの低下も引き起こした(図2D)。一方、非癌性hTERT-HPEN細胞では1.25~2.5mMではNAD+の低下はなく、5mMのみで癌細胞より少なく低下した。ATPの低下はなかった。



また、NAD +はチューブリン脱アセチル化酵素Sirt-2の必須補因子(34)で、NAD +の減少により、Sirt-2の活性が阻害され、α-チューブリンアセチル化を増加させた(図S2A)。



αチューブリンのアセチル化は他にも脱アセチル化酵素(HDAC6)とアセチル化酵素(α-TAT)にも関連するため、それも調べた。

・PANC-1およびBxPC-3細胞の両方において、HDAC6発現の減少が見られた(図S2A)α-TATに変化はなかった。また、HDAC6により、α-チューブリンアセチル化がわずかに逆転したが(図S2B)、細胞死には影響しなかった(図S2C)。

・α-チューブリンアセチル化と、膵癌細胞の生存率はAsc処理において逆相関した(図3C)(PANC-1、r = -0.98287およびBxPC-3、r = -0.88609)。





*著作権侵害にならないように内容をまとめて紹介しています。

ビタミンC点滴を補助治療として続けた膠芽腫の1例

The Use of Intravenous Vitamin C as a Supportive Therapy for a Patient with Glioblastoma Multiforme

Nicola Baillie et al. Antioxidants (Basel). 2018 Sep; 7(9): 115.




膠芽腫は、大変予後が悪い(生存期間中央値12ヶ月、3年生存率2%(1.2)腫瘍として知られていますが、そんな膠芽腫の患者さんに対してビタミンC点滴を用いて、QOLだけではなく、良い状態で4年以上経過を見ることができた症例報告です。



膠芽腫ではビタミンC依存性TET2ヒドロキシラーゼのエピジェネティックな調整が認められており(3)、治療成績の向上が期待されている、という背景があります。



症例:

55歳女性

診断初期に、腫瘍縮小術、その後、放射線治療、テモゾロミドによる治療も行っている。

週2-3回ビタミンC点滴と良質な生活を続けた。



初めてIVCを受けたのは化学療法中で、倦怠感、肺炎(抗生剤の点滴治療)、貧血(輸血を必要としていた)の症状があったが、IVC後4週間で活力が戻ってきたこと、歩行距離が長くなったことを実感されている。



QOL(EORTC QOL C30)のモニタリングは3ヶ月、12ヶ月の時点で行われ、3ヶ月の時点で疲労、呼吸困難、不眠、食欲不振、下痢などの臨床症状は改善した。

(化学療法期間中であるにも関わらず)


初回の血漿ビタミンC値は1.2mg / dL(68μmol/ L)

(診療所に来る前に1グラムのビタミンCサプリメントを摂取していた。)



最初の6ヶ月間は週に3回、その後は3年以上にわたって週2回、85g 投与し、

最初の4ヶ月間の輸液後の平均血漿ビタミンC濃度は393mg / dL(22mmol / L)であった。



もちろんこの患者さんの治療成績が全てIVCによるものとは言えないが、TET2ヒドロキシラーゼ変異が膠芽腫で認められ、ヒドロキシメチルシトシンの低下によって膠芽腫の生存期間が短縮している(3.4)ため、ビタミンCを治療に加える効果がある可能性がある。





1. Yersal O. Clinical outcome of patients with glioblastoma multiforme: Single center experience. J. Oncol. Sci. 2017;3:123–126. doi: 10.1016/j.jons.2017.10.005. [CrossRef]
2. Adeberg S., Bostel T., König L., Welzel T., Debus J., Combs S.E. A comparison of long-term survivors and short-term survivors with glioblastoma, subventricular zone involvement: A predictive factor for survival? Radiat. Oncol. 2014;9:1–6. doi: 10.1186/1748-717X-9-95.[PMC free article] [PubMed] [CrossRef]
3. Garcia M.G., Carella A., Urdinguio R.G., Bayon G.F., Lopez V., Tejedor J.R., Sierra M.I., Garcia-Torano E., Santamarina P., Perez R.F., et al. Epigenetic dysregulation of TET2 in human glioblastoma. Oncotarget. 2018;9:25922–25934. doi: 10.18632/oncotarget.25406.[PMC free article] [PubMed] [CrossRef]

4. Orr B.A., Haffner M.C., Nelson W.G., Yegnasubramanian S., Eberhart C.G. Decreased 5-hydroxymethylcytosine is associated with neural progenitor phenotype in normal brain and shorter survival in malignant glioma. PLoS ONE. 2012;7:e41036 doi: 10.1371/journal.pone.0041036. [PMC free article] [PubMed] [CrossRef]

がんに対するビタミンCの効果、メカニズムについてのレビュー 

Potential Mechanisms of Action for Vitamin C in Cancer: Reviewing the Evidence

Margreet C. M. Vissers et al. Front Physiol. 2018; 9: 809.




最新の、がんに対するビタミンCの知見です。

2018年のレビュー。



過酸化水素の発生による抗がん効果はもちろんですが、最近はビタミンCによるHIF転写活性の阻害や、エピジェネティックな抗がん効果が注目されており、その辺りから、とても面白い内容となっています。

(はじめはあまり面白くないかも、、、)





Introduction

・最近の第I相試験では、高用量ビタミンCが化学療法の効果を高めることが示されている(Welsh et al., 2013; Hoffer et al., 2015)。







Uptake and Metabolism of Ascorbate

・ほとんどの動物は肝臓や腎臓でアスコルビン酸を合成するが、人、他霊長類、モルモット、フルーツバットはグロノラクトンサンオキシダーゼが欠乏しておりアスコルビン酸を合成できない。

・合成できる動物は、主にSVCT1or 2を介して細胞内にビタミンCを取り込む(細胞内の濃度は50μMくらい)。

・これは血漿の数倍高い濃度(Tsao, 1997; Mayini and Qu, 2005; Savini et al., 2008; Harrison and May, 2009; Mandlら, 2009; Nualartら, 2014)



・赤血球はSVCT2がなく、GLUTを介してDHAを取り込む(Tuら, 2017)

・マウスモデルでは、血漿でビタミンC濃度が低い場合、組織のビタミンC濃度も低い(Vissers et al., 2011)

・病気になった動物はアスコルビン酸の合成量を劇的に増やして、代謝回転の増加に対応する(Chatterjeeら, 1975; Michels and Frei, 2013; Campbell et al。, 2015)

・動物の腫瘍移植モデルでは、血漿および組織アスコルビン酸レベルは高く維持され、補充による効果は乏しい(Michels and Frei, 2013)





アスコルビン酸(AA)の化学

・AAは1〜2電子を供給して(酸化され)、比較的安定なアスコルビルラジカルやDHAになる。

・DHAは中性pHでは不安定で、グルタチオンまたはチオレドキシンによって還元されてアスコルビン酸塩にならない限り、ジケトグロン酸、シュウ酸およびスレオニン酸により迅速に分解される(Washburn and Wells, 1999; Smirnoff, 2000) (Washko et al., 1992; Washburn and Wells, 1999; Linster and Van Schaftingen., 2007)。

・DHAは、アスコルビン酸塩のうちごくわずかで、1~2μMを超える濃度で存在する可能性は低い(Dhariwalら., 991; Michels and Frei, 2013; Pullarら, 2018) 。

・DHAは空気中の酸素で容易に酸化され、検査で過大評価されやすい(Dhariwalら, 1991; Levineら, 1998; Michels and Frei, 2013; Pullar et al., 2018)



・アスコルビン酸塩は、遷移金属イオン(Fe 3+、Cu 2+)をキレートおよび還元し(Du et al., 2012; Padayatty and Levine, 2016)、食事からの鉄吸収を促進する(Lane and Richardson, 2014 )。

・酸素の存在下ではフェントン反応を促進し、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素などを生成する。(Haber-Weiss化学(Winterbourn, 1981; Buettner, 1987; Smirnoff, 2000; Koppenol, 2001; Levine et al., 2011; Michels and Frei, 2013)








AAの抗がん効果

・がん細胞に対する細胞障害効果を報告した論文は、インビトロでの多くの研究がある。

 単独または化学療法との併用(Wellsら, 1995; Reddyら, 2001; Pathakら, 2002; WozniakおよびAnuszewska , 2002; Guerrieroら, 2006; Kassoufら, 2006; Chenら, 2007、2012; Martinottiら, 2011; Verraxら, 2011; Maら, 2014; Cieslakら, 2015; Xiaら, 2017)

 放射線治療との併用(Herst et al., 2012; Castroら, 2014)



・この効果は、主に1mM以上の濃度で生成される過酸化水素により、以下の効果がある。(Chenら, 2011; Espeyら, 2011; Frombergら, 2011; Rouleauら, 2016; Kimら, 2018)。

 ・細胞周期停止

 ・p53アップレギュレーション

 ・ATPレベルの低下

 ・ミトコンドリア機能障害

 ・抗酸化遺伝子発現NrF-2の抑制

 ・アポトーシスによる細胞死(Tarumotoら, 2004; Frombergら, 2011; Rouleauら, 2016; Yangら, 2017)。



・mM濃度のアスコルビン酸レベルを目的した、パイロットスタディおよび第I相臨床試験がある(Hofferら, 2008,2015; Montiら, 2012; Stephenson et al., 2013; Welsh et al., 2013)。





・1mM以下の場合でも効果はあり、100μMや1μMでも、エトポシド、シスプラチン、またはドキソルビシンに対する癌細胞の感受性が増強された(Kurbacherら, 1996; Reddy et al., 2001; Tarumoto et al., 2004; An et al., 2011)

・ただ、これらの作用機序は不明である。P53などの細胞生存経路の改変?(Kurbacherら, 1996; Reddyら, 2001; Tarumotoら, 2004; Anら, 2011)



・アスコルビン酸塩がゲムシタビンと相乗効果には強いエビデンスがある(Kassoufら, 2006; Espeyら, 2011; Martinottiら、2011; Voltaら、2013; Cieslakら、2015)

・最近のフェーズⅠ/Ⅱ試験(Monti et al., 2012; Welsh et al., 2013)では、有害事象は発生しなかった。





腫瘍異種移植片マウスの研究

・経口や腹腔内投与を用いた試験で、様々な腫瘍に対し成長速度を遅らせた(Gao, 、2007; Chenら, 2008; Chaら, 2011、2013; Espeyら, 2011; Maら, 2014; Campbellら, 2015,2016b; Yunら, 2015)。





がん細胞内へのDHA(デヒドロアスコルビン酸)の取り込みと酸化ストレスとの関連

・赤血球、感染部位の好中球などでは、DHAはGLUTを介して細胞に取り込まれる(Rumseyら, 1997, 2000; Corpe et al., 2005; Wilson, 2005; Michels and Frei, 2013)。

・細胞内に入ると、DHAはGSH、NADH、NADPH依存性酵素によって還元され、これらを枯渇させる可能性がある(May et al., 1997, 1999; May, 2002, 2011)



・KRASおよびBRAF変異は結腸癌において一般的で、GLUT1および解糖系が亢進している(Yun et al., 2015)。このタイプの腫瘍移植動物モデルで4g/kgの腹腔内投与で腫瘍増殖が遅くなった。

・DHAは過酸化水素の産生とともに、GSHの枯渇などでも抗腫瘍効果に寄与している可能性がある

・アスコルビン酸塩は、KRAS突然変異大腸癌におけるセツキシマブの細胞傷害性を増強し、GLUT1およびPKM2をダウンレギュレーションすることで、解糖系のワルブルグ効果を阻害する。 (Aguilera et al., 2016)。

・またこの反応はSVCT2によるアスコルビン酸の細胞蓄積に関連していた(Jung et al., 2016)





アスコルビン酸によるHIF活性のダウンレギュレーション

・急速な細胞分裂による乏しい血管形成のもとでは、酸素や栄養の欠乏が起こり、HIFを活性化させる。



・HIFとは、、

 ・血管新生、解糖、転移、ケモやRTに対する耐性などに関連(Semenza, 2010,2016; Ratcliffe, 2013)

 ・乳がんでは、がん幹細胞の発現を促進する(De Francescoら, 2015; Semenza, 2015,2016)

 ・乳がんの予後不良と関連する(Dachs and Tozer, 2000; Vleugelら, 2005; Caoら, 2009; Semenza, 2010,2015,2016; Voliniaら, 2012; Wangら, 2012,2014; Zhangら, 2012; Debら, 2014; Liuら, 2014; Liら, 2016; Schoningら, 2017)

 ・がんの治療の指標とされている。



・HIF活性はHIFヒドロキシラーゼによって調節されており、アスコルビン酸はHIFヒドロキシラーゼの特異的な補酵素(Kaczmarek et al., 2009)である。

・アスコルビン酸が欠損すると、低酸素に反応してHIFヒドロキシラーゼ活性が損なわれHIF転写活性が上昇する(Knowles et al., 2003; Vissers et al., 2007; Kuiper et al., 2014a; Campbell et al., 2016a)。



・Guloノックアウトマウスでは、アスコルビン酸の経口もしくは腹腔内投与により、腫瘍内アスコルビン酸濃度、HIF活性化および腫瘍増殖との強い関連が認められた(Campbell et al., 2015,2016a )。

・1日ではなく、毎日投与することで、腫瘍内のアスコルビン酸濃度が維持され、HIF低下、腫瘍成長の遅延が観察された(Campbell et al., 2016b)

・ヒト腫瘍組織のレトロスペクティブスタディでは、腫瘍内アスコルビン酸量と子宮内膜、結腸直腸、甲状腺癌組織のHIF活性のマーカーの間に逆相関が認められた(Kuiperら, 2010,2014b; Jozwiakら, 2015) 。

・結腸直腸癌において、アスコルビン酸が腫瘍内に多いほど、患者の無病生存率が増加していた(Kuiper et al., 2014b)。

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ここから2日目、

いよいよビタミンCのがんに対するエピジェネティックな効果です。

ビタミンCの「抗酸化物質」以外の、また、「過酸化水素発生」以外の効果について書かれています。





・低メチル化は転移、がん遺伝子の転写を活性化する(Berman et al。、2011; Ehrlich and Lacey、2013)というのが、前提条件としてあるのですが、その上で、



・ビタミンCのエピジェネティクスにおける役割が注目されている(Lorsbach et al。、2003; Monfort and Wutz、2013; Young et al。、2015; Camarena and Wang、 2016; Gillbergら、2017; Cimminoら、2018; Mastrangeloら、2018)。



というのが、今日のメインの内容です。



予備知識:

・TETタンパクにより行われる酸化により、DNAの脱メチル化が引き起こされる(Heら、2011; KohliおよびZhang、2013)

・JMJCファミリーは一、二、および三メチル化ヒストンリジン残基を脱メチル化する、20以上のタンパク質を含む(Tsukadaら、2006; Monfort and Wutz、2013)。

・AML患者の大規模なコホート研究によると、TET2変異は患者の約10%、JMJCの変異は、〜1%の患者であった(Ley et al。、2013; Papaemmanuil et al。、2016)。

・イソクエン酸を2-OG(TETおよびJMJC酵素に必要な補因子)に変換するIDHとTET2の変異は排他的。突然変異体IDH(mutIDH)は、2-ヒドロキシグルタレート(2-HG)を生成し、TET2を阻害することによって造血を阻害する(Figueroaら、2010; Losmanら、2013)。



その上で、

・アスコルビン酸はTETおよびJMJCファミリーの適切な活動に必要であり、(Klose et al。、2006; Tsukada et al。、2006; Minor et al。、2013)

・TET2またはIDHのいずれかの変異をもつ白血病マウス/細胞モデルにおいて、アスコルビン酸が細胞機能を回復する研究が次の3つ(Agathocleousら、2017; Cimminoら、2017; Shenoyら、2017) 説明されています。



つまり、アスコルビン酸が少なくとも白血病モデルにおいて、TET2活性をアップレビュレートすることによって、TET2欠損の影響を緩和することを示している。





詳細:



・Cimminoら(2017)は、TET2ノックアウトにより、自己複製、骨髄系マーカーの喪失、過剰なメチル化およびメチル化された遺伝子転写が減少し、またTET2の修復とアスコルビン酸(250μM)のいずれもが、これらの結果を逆転させたこと、またカタラーゼを添加しても、アスコルビン酸の効果に変化はなかったことを示した。



・Agathocleous(2017)らは、Tet2欠損、Gulo欠損、Flt3ITD(Tet2欠損と伴ってAMLを誘発する変異)の様々な組み合わせをもつ、様々なマウスモデルを使用し、

・ヒトおよびマウスの造血幹細胞はアスコルビン酸濃度が高く、アスコルビン酸輸送体Slc23a2の発現と相関した。

・Glo欠損マウスにおいてTET2活性低下に一部起因する造血幹細胞の増加を認めた。



・Mingay (2018)らは、IDH1R132Hを発現するHOXA9-不死化マウス骨髄細胞を使用し、アスコルビン酸(345μM)添加が、DNA脱メチル化を促進し、プロモーターの脱メチル化、またいくつかの重要な造血遺伝子の発現を増加させることを示した。





これらの研究からメチルトランスフェラーゼ阻害剤との併用については、

・60-86歳の高齢患者において、アスコルビン酸をデシタビン+アクラルビシン+シタラビンに併用した群としなかった群では、アスコルビン併用群の寛解期間が有意に長く、全生存率が高かった。(Zhao et al。、2018)。

ただし残念ながらこの研究の患者について、TET2変異は検査されていなかった。





がんにおけるアスコルビン酸の薬理学的考察

・Gulo欠損腫瘍マウスへの高用量の腹腔内投与後24時間以上で、腫瘍内のアスコルビン酸濃度の上昇が持続していた(Campbell et al。 、2016b)。

・Gulo欠損マウスにおいて、アスコルビン酸の連日投与は隔日投与に比べ抗腫瘍活性が高かった(Campbellら、 2016b)



・アスコルビン酸の血管からの拡散は、細胞周囲を拡散した細胞層へ広がることがインビトロモデルで認められた(Kuiperら、2014c)。



血漿濃度に関連したアスコルビン酸の分布

・壊血症レベル(10μM):アスコルビン酸は組織に到達できない。

・「健康であるが飽和していない」レベル(50μM)または組織の飽和(100μM)レベル:組織のアスコルビン酸は血管に近いほど高くなる。組織のアスコルビン酸は100μm(図の黒いバー)までしか届かず、これは十分灌流されている組織の血管の平均的な距離である(Ludkeら、2009、2010; Voltaら、2013)。

・ビタミンC点滴レベル(1mM):100μmを超えてビタミンCが灌流する。(Kuiper et al。 (2014c)

心筋虚血/虚血再灌流障害 に対する、高用量ビタミンC投与についてのレビュー

Making sense of early high-dose intravenous vitamin C in ischemia/reperfusion injury

Spoelstra-de Man et al. Critical Care (2018)22:70




救急、集中治療の雑誌の、2018年のレビューです。

心筋虚血/虚血再灌流障害に対する高容量ビタミンC投与についてです。





・ビタミンCは、PhaseⅠの小規模の試験において、RCTで敗血症性臓器不全からの回復を早め(3)、敗血症性ショックの患者の死亡率を下げた(4)が、

・これは敗血症や虚血再灌流障害では大量のROSが発生し、ミトコンドリア機能不全を引き起こすからで、

同様に心停止後にも大量のROSが発生するため、ビタミンCが効果があるのではないか、というレビュー



・心停止後ROSが発生するが、脳や心臓は代謝が高い臓器であるため、有害な影響を受けやすい。



ビタミンCの低下

・心停止後1日で、血中のビタミンC濃度は通常の50%以上に減少し、3日後には欠乏する(8)

・ビタミンEやグルタチオンはビタミンCの枯渇後にのみ酸化される。

・集中治療室(ICU)患者の低ビタミンC値は、昇圧剤の必要性、腎障害、多臓器機能不全(SOFAスコア)、死亡率と関連していた(図1および2)。ビタミンC欠乏群では、SOFAスコアは8点高く(これは2つの臓器が完全な機能不全であることを意味する)、死亡率は6.9倍高かった(8)。



・敗血症においてもビタミンC値と多臓器不全の関連が示されている(9)。

・ICU患者では、1週間の経腸栄養(ビタミンC700mg含)後でも、大部分の患者の血漿濃度は不十分であった(10)。





高容量ビタミンCの理論



1. スーパーオキシド(O2- )のフリーラジカルを除去する。

2. キサンチンオキシダーゼおよび 3. NADPHオキシダーゼの活性化を阻害する。

4. 電子伝達系の障害によって増加する酸化ストレスからミトコンドリアを保護する。

5. ジヒドロビオプテリン(BH2)からテトラヒドロビオプテリン(BH4)を回復させ、血管内皮のeNOバイオアベイラビリティーを増加させる。

6. 誘導型NOS(iNOS)の活性化を阻害し、iNOの産生およびペルオキシナイトライト(ONOO-)の生成を妨げる。

7. ONOO-を捕捉し、血管内皮のタイトジャンクションの弛緩を防ぐ。

8. α-トコフェロールを還元し、脂質の過酸化を防ぐ。




ビタミンCの薬物動態

・重症患者では、ビタミンC血中濃度は低く、最低3g/day必要としたという報告がある(13)

・能動輸送により、脳脊髄液のビタミンC濃度は血漿の約4倍、細胞内は25~80倍に保たれている。

・顆粒球、赤血球および血小板のビタミンCは、血漿濃度および酸化ストレス誘発トランスポーター発現に関連する。





高容量ビタミンCの安全性

・重症位感染症患者では200mg/kg/day(3)、癌患者では1500mg/kgを週三回で安全性が確認されている(15)。

・ビタミンCはFe3+からFe2+など、触媒金属を還元しROSを引き起こすため、ヘモクロマトーシスの症例は除外されている。





心停止後に対する高用量ビタミンC

・動物モデルで3試験のみ。すべて、ラットの心房細動/電気ショックモデルであった。

・2つの試験では、ビタミンC(50および100mg / kg i.v.)投与で、心筋損傷を減少し、生存率および神経学的アウトカムを改善した(16,17)。心筋の酸化ストレス(マロンアルデヒド濃度)は有意に減少し、効果は自発循環が戻った後にも観察された。

・またビタミンCとDHA(ビタミンCの酸化型)を250 mg / kg投与した別の試験では良い結果は出なかった(18)。





高容量ビタミンCと心筋虚血/再灌流障害

・動物試験では、高容量ビタミンCは梗塞サイズを減少させた(19-22)。しかし減少させなかった研究もあり(23-25)、また糖尿病のみ減少(19)したり、酸化型ビタミンC(26)や、グルタチオンとの併用(27)では効果は認められなかった。

・高容量ビタミンCは、心室細動、心室頻拍および心室期外収縮(27-31)など再灌流不整脈を減少させたが、有意ではないものもあり(28)、ビタミンCとデフェルオキサミン(deferoxamine)またはグルタチオン(27)を組み合わせた場合にのみ有意な減少が認められたものも。

・ビタミンCは、すべての研究ではないが、多くの研究(19-21)において、心筋虚血後の左心室機能を改善した。改善しなかった報告(23) 臨床試験・周術期心筋損傷はPCIの15〜35%で発生し、長期死亡率、再発性梗塞、際血管新生と関連している。

・選択的PCI前のビタミンC投与により、酸化ストレスを改善させ、大規模試験において(n=532)、周術期心筋損傷を減少させた(35)。

・ビタミンCは微小循環再灌流を著しく改善し、対照群では39%だったのに対し、79%の患者がTIMI心筋灌流グレードIIIに達した(34)。

(・メカニズムは、ビタミンCはNO補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)の酸化を防ぎ、NOのバイオアベイラビリティを増加させる。)





人工心肺を用いた心臓手術

・心臓手術後のビタミンC低値とROSの発生が関連していた(37)

・人工心肺前とクランプ解除後の高容量ビタミンC投与は酸化ストレスおよび、心筋損傷を減少させた(38)。

・ビタミンCとEのサプリメントを術前摂取することで、酸化的ストレスのマーカーと心電図の虚血性変化が減弱した(39)。

・心臓手術後の心臓リズム障害の最も頻繁なタイプは心房細動であり、発生率は10%〜65%であり、死亡率のリスクが高い。

・メタアナリシスにおいて、ビタミンCは発作性心房細動の発生率を有意に低下させた(OR=0.47(95%CI:0.36-0.62; p <0.00001)(40)。





高容量ビタミンCと脳虚血/再灌流障害

・脳は多くの酸素を必要と、酸化ストレスに弱い。脳細胞にはビタミンCがミリモル濃度で保たれている。

・脳の虚血が起こると、虚血領域の細胞外に大量のビタミンCが放出され、細胞内ビタミンCレベルは著しく急速に低下する(41)

・ビタミンCはBBBをDHAの形でGLU1を介して通過し、グルタチオンや他細胞内チオールによりビタミンCに変換される。

・DHAの静脈内投与は、ビタミンCと比較して、より効率的にDHAを取り込むため、脳虚血の研究の大部分は、DHAに焦点を当てている。

・DHAがビタミンCに変換されると、多面的な神経保護作用を発揮する。

・ビタミンCは、ROSによってブロックされる星状細胞への、グルタミン酸の取り込みを改善する。







Preclinical stadies

・マウス、ラット、サルの大脳虚血モデルでは、DHAは死亡率を減少させ(42)、梗塞サイズを減少させた(42-47)。

・閉塞の10分後のDHA100mg / kg(腹腔内[i.p.])投与で、24時間後の梗塞サイズが50%減少した。また静脈投与で、脳における低ビタミンCレベルを改善し、脳の酸化傷害および浮腫を減少させた(43,44)。

・梗塞前にビタミンC 2g ivで前処置したサルでは、梗塞サイズが22%から7%に減少し、スナネズミではビタミンCにより線条体が保護された(48)。(大脳皮質、海馬および線条体は、虚血に虚弱な領域である。)





Clinical stadies

・脳卒中患者のプラセボ対照試験では、ビタミンCの効果は認められなかった(50)。容量が 500mg /日と少なく、脳卒中1日後という脳損傷が不可逆的になってからの開始であったことが原因と考えられる。





結果を出すための虚血/再灌流障害に対するビタミンC投与

・ビタミンCのスカベンジャー効果は血漿ビタミンC濃度が1-10mmol/lは最低でも必要・ROSの大量放出は再灌流後、数分以内に起こる。このため、投与のタイミングが遅いと、結果は出ない可能性がある。(50)など

・CPR後は酸化ストレスが強いので、DHAではなくビタミンC投与で十分、ビタミンCは酸化されDHAとなって脳に届くと考えられる(ビタミンCの投与が良いのではないか?)など

ビタミンCと免疫についてのレビュー

ビタミンCと免疫機能に関するレビューです。基礎的な知識として、レビュー多めで読んで行こうと思います。

なんとリファレンスが256個もあります...

今回は長くなるので、何日かに分けてご紹介します。
(編集者として、こちらでは、順次くっつけて行きます)


Introduction

・壊血症では、肺炎などの感染症に非常にかかりやすい(7)。

・食事での100~200mg/dayのビタミンCにより、健常人はビタミンCの血中レベルを保つことができ、慢性疾患のリスクの軽減に必要である(11.12)。

・ビタミンCは、生合成および遺伝子調節において、モノオキシゲナーゼおよびジオキシゲナーゼ酵素ファミリーの補因子でもある(18.19)。

・ビタミンCはリシル/プロリルヒドロキシラーゼの補酵素で、コラーゲンの三次構造に必須であり、脂肪酸をミトコンドリア内に輸送するカルニチンの生成の補酵素でもある(19)

・ビタミンCはカテコラミン(ノルエピネフリンなど)やバゾプレシンなどの生成時の補酵素でもある。

・ここ15年の研究で、ビタミンCが、転写因子活性やエピジェネティックマーカーなどの調整を介し、遺伝子転写や細胞シグナル伝達経路の調整に重要な役割があることが明らかになっている。(21.22)

・HIF1αのダウンレギュレーションに必要なプロリル/アスパラギルヒドロキシラーゼはビタミンCを補酵素として利用する(21)

・ビタミンCは水酸化酵素の補酵素としてDNAやヒストンのメチル化を調整する。(22)

免疫システム
ビタミンCの作用
文献
表皮における
バリア
コラーゲンの生成や安定性を高める
活性酸素によるダメージから守る
角化細胞の分化やバリア脂質の合成を高める
線維芽細胞の増殖や遊走を高める
患者において創傷治癒の時間を短縮する
[30-35]
[36-40]
[41-45]
[46,47]
[48,49]
貪食
(好中球、マクロファージ)
抗酸化剤としての効果/電子供給
運動性、走化性を高める
貪食作用、活性酸素の産生を高める
微生物殺作用を高める
アポトーシス、クリアランスを容易にする
壊死,NETosisを減らす
[50-53]
[54-63]
[64-71]
[54,55,57,58,70,72]
[71,73,74]
[73,75]
B/Tリンパ球
分化、増殖を高める
抗体価を高める
[62,63,76-82]
[78,83-85]
炎症メディエーター サイトカイン生成を調整する
ヒスタミン値を下げる
[75,77,86-94]
[56,61,95-101]

 

 

皮膚のバリア機能と創傷治癒

・皮膚にはミリモル濃度のビタミンCが含まれており、真皮層より表皮に多い(24-26)

・ナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター(SVCT)アイソフォーム1および2を介して皮膚に蓄積される(27)。

・ビタミンCはコラーゲンの三次構造を安定化させる水酸化酵素の補酵素として働くだけでなく、線維芽細胞のコラーゲン遺伝子発現を増加させる(31-35)。

・ヒトのビタミンCの介入試験では、皮膚細胞でのビタミンCの取り込みが増加し(26.36)活性酸素除去のうも上がっている(36.37)

・皮膚のビタミンC濃度が上がることにより、環境汚染物質による酸化ストレスから皮膚を守る(38.39)

・この働きはビタミンEと組み合わさると増強される可能性が高い(40.102)



・培養角化細胞にビタミンCを投与すると、分化およびバリア脂質の合成が促進し、結果バリア機能が高まる(41-45)

・重症感染症の動物モデルで、肺上皮のバリア機能不全をビタミンC投与で回復することができる(74)

・ビタミンC依存性(Guloノックアウト)マウスを用いた動物実験で、皮膚のコラーゲン形成に変化はなかった(103)が、創傷後のコラーゲン形成が有意に減少した(46)。

・炎症誘発性メディエーターの発現を減少させ、種々の創傷治癒メディエーターの発現を増強する(46)。 

⇨つまりビタミンCは、創傷治癒に、特に必須である。



・線維芽細胞の培養実験において、組織の創傷治癒に必須な線維芽細胞の増殖および遊走を、ビタミンCが遺伝子発現を変化させることにより、促進している(46,47)。

・外科手術後、血中ビタミンCを正常化するため、通常より多い摂取量が必要となり(105)、ビタミンCを含む抗酸化物質により、創傷閉鎖の時間を短縮することができる(48,49,106,107)。

・炎症の初期の段階の間、好中球は創傷部位に移動し、活性酸素種(ROS)および抗菌性タンパク質の放出によって滅菌される[109]。



・好中球は最終的にアポトーシスを受け、マクロファージによって消失し、炎症反応の解消をもたらす。

・糖尿病患者など慢性的に治癒しない創傷では、アポトーシスを受けるはずの好中球が持続し、代わりに壊死細胞死を起こすことで、炎症反応が延長し創傷治癒を妨げている可能性がある(109,110)。

・ビタミンCは、好中球のいくつかの重要な機能に影響を与えている。(炎症メディエーターに対する遊走、マクロファージによる貪食作用および微生物の殺傷作用など)



ビタミンCと白血球の機能について

・白血球は、ビタミンC濃度が高く、血漿の50〜100倍(111-113)。

・白血球は、〜100mg /日でビタミンC飽和濃度に達する(114,115)他の組織は飽和濃度に達するにはさらに多い摂取量を必要とする(116,117)。

・好中球はSVCT2を介してビタミンCを取り込む。典型的には1mM程度(111,118)。

・酸化刺激を加えると、好中球はグルコース輸送体(GLUT)を介して、デヒドロアスコルビン酸(DHA)を非特異的に取りこみ、DHAは細胞内でビタミンCに急速に還元され、10mMレベルに細胞内濃度を高める(118,119)。

・ビタミンCは、抗酸化物質として活性酸素を除去するだけでなく、細胞および膜の酸化を防止するグルタチオンやビタミンEを再生することできる(120)。



・酸化物質と抗酸化物質の生成バランスの変化は、NFκBにより複数のシグナル伝達経路が変化して起こる(121)。

・酸化剤は、NFκBを活性化し、シグナル伝達カスケードを誘発し、酸化種および他の炎症メディエーターの合成を促進する(122,123)。

・ビタミンCは、インビトロ樹状細胞において、酸化物質の生成と、NFκBの活性を抑制し、敗血症Guloノックアウトマウスにおいて、好中球NFκB活性を減弱する(75,124)。

・チオール含有タンパク質は細胞内の酸化還元細胞シグナル伝達経路の調節を中心的に行う [125]。・T細胞において、ビタミンCによる、チオール依存性細胞シグナル伝達および遺伝子発現経路の調整が報告されている(126,127)。





好中球の走行性

・ビタミンC欠乏モルモットの白血球の遊走性は、ビタミンC摂取マウスに比べて劣っていた(54-56.64)。

・重度の感染症では白血球の走化が障害され(129-132)、これは初期の免疫の過刺激により、代償性の抗炎症性および免疫抑制性メディエーター(IL-4、IL-10など)が上昇するためと考えられている(133)が、重症感染症ではビタミンCが枯渇しており(20)、再発感染症においてグラム容量のビタミンC補充で白血球の走化性が回復したり(57-60,65-67)、敗血症が疑われる新生児に400mg /日のビタミンC投与で好中球走化性が劇的に改善された報告がある(134)。



・CGD患者においてグラム用量のビタミンC投与にて、白血球走化性が改善し、感染症状の改善など臨床症状とも関連していた(137-139)。

・CHS(Chediak-Higashi syndrome)の2人の子供の好中球は、200〜500mg /日のビタミンC補充で走化性が改善された(141,142)が、これはすべての場合において当てはまるわけではなかった(140,143)。

・ビタミンCは微小管の安定化に寄与すると報告されており(146)、これらは、微小管重合(144,145)および微小管(146)への影響を介して部分的に媒介されると考えられている。



・健康なボランティアに対する食事/グラム容量のビタミンC投与でも白血球の遊走性が強化されることが示されている(61-63,147)

・ビタミンCが<50 μM などの低下している人では、~250 mg/dayのビタミンC投与で、20% 走化性が改善したり(147)、高齢女性でビタミンC1g/dayとビタミンEの投与で、走化性を含む好中球機能の改善が認められた(148)

 

貪食と微生物への殺傷効果

・ビタミンC欠乏モルモットから単離した好中球は、微生物を死滅させる能力が著しく損なわれており(54,55,70)、貪食作用やROSの生成が低下している(68-70)。

・ヒトでは、ビタミンC欠乏状態のボランティアの好中球ではROSの生成が低下しており、ビタミンCの補給後で20%増強することができた(147)

・高齢者にビタミンCとEを補充することで、貪食能およびROS生成を増加させることができた(148)。



・再発感染(57,58,66,67,72)やCGD、CHSなど遺伝的原因がある(138,139,141,143,150)患者でも、グラム用量のビタミンC投与で、好中球の殺菌/貪食作用を、有意に長期的に改善することができた。

・しかしいくつかの研究では、CGDやCHS患者へのビタミンC補充による、抗真菌、抗菌効果について、有意な効果が認められなかったという結果もある(140.151)。

・これらの違いは、ビタミンC投与前のビタミンC値による違い(記載されていない研究が多い)や、微生物による酸化メカニズムへの感受性の違い(Staphylococcus aureusは酸化に弱いなど)などが考えられる。

・重症感染症(敗血症など)では貪食能やROS生成が低下しており(153)、貪食能の低下は死亡率と関連している(154)。

・院内感染前に院内感染重症患者の好中球殺傷能力が低下していることが観察された(155)。





好中球のアポトーシスとクリアランス

・カスパーぜはホスファチジルセリンの暴露で増加し、マクロファージによる細胞の取り込みを促進する鍵となる酵素である(162)

・カスパーぜはチオール依存性酵素で、好中球により生成されるROSにより、感受性高く不活化される(163.164)。(⇨ビタミンCがROSを還元することによるアポトーシスプロセスの保護が期待される。)

・インビトロでは、ヒト好中球にビタミンCを負荷すると、大腸菌が媒介する好中球のアポトーシスを増強する(71)

・ビタミンC欠損Guloマウスから単離した好中球はアポトーシスを弱め(75)、代わりに炎症部位に持続し、壊死性細胞死を起こした(73)。

・さらに、敗血症動物モデルにおいてビタミンC投与は、これらの動物の肺における好中球の数を減少させた(74)。

・多くの研究において、重症感染症患者の好中球アポトーシスの減弱が報告されており(165-172)、アポトーシスの遅延は重症度に関連している(173,174)

・重症敗血症患者でビタミンC投与が好中球アポトーシスに及ぼす影響を調べた論文は1件のみで、腹部外科術後の敗血症患者に450mg/dayのビタミンCを投与し、カスパーゼ3タンパクレベルを低下させたことを報告している(178)(カスパーゼ活性や好中球のアポトーシスは評価されなかった。)





好中球壊死とNETosis

・アポトーシスを起こせない好中球は、代わりに壊死細胞死を起こし、プロテアーゼなど毒性細胞内成分を放出し、広範な組織損傷を引き起こす(179,180)。また好中球DNA、ヒストン、および酵素を含む好中球細胞外トラップ(NET)を放出する(181)。

・敗血症患者では、無細胞DNAのレベルが有意に上昇している(184,187)。

・ビタミンC欠損Guloノックアウトマウスでは、肺におけるNETの増強や無細胞DNAの増加が認められた(75)。またこれらのマーカーはビタミンC投与で減弱した。(無細胞DNAは、壊死組織由来であり、好中球DNAに特異的ではないことに留意すべきである。)

・インビトロのヒト好中球にビタミンC投与すると、ホルボールエステル誘発性NETosisが減弱した(75)。



・HIF-1αは、低酸素下での好中球のアポトーシスを遅らせる (189)。

・ビタミンCは、鉄含有ジオキシゲナーゼ酵素の補酵素であり、HIF-1α値/活性を調節する(190)。(この酵素は、HIF-1αの分解を促進し、HIF-1α活性をダウンレギュレートする。)

・ビタミンC欠損Guloノックアウトマウスでは、正常酸素状態下で、HIF-1αのアップレギュレーション、好中球アポトーシスおよびマクロファージによるクリアランスの低下が観察された(73)。

・HIF-1αは、NET生成の調節因子とも考えられており(191)、ビタミンCがHIF-1αを介してNETの低下に貢献するメカニズムもありうる(75)。





リンパ球の機能

・B/Tリンパ球は、SVCTを介してビタミンCを取り込む(192,193)。

・in vitroでは、ビタミンCにより、

 ・リンパ球の増殖促進(76,77)

 ・抗体産生の増強(78)

 ・細胞死刺激に対する抵抗性(195)

 ・未成熟T細胞の発達分化および成熟(76,79)

 ・成熟および未熟ナチュラルキラー細胞の増殖および分化(196)



・ヒトの介入研究では、ビタミンC投与で免疫グロブリン(IgM、IgG、IgA)が高くなったと報告されているが(85)、関連が認められない研究もある(62)

・低用量のビタミンCを喘息の子供や健康なボランティアに経口/静脈投与し、マイトジェン誘発性のTリンパ球の増殖を生体外で測定した(62.63.81)。

・高齢者へのビタミンC(80)、およびビタミンA/Eとの組み合わせで、リンパ球増殖を増強することも示されている(148,197)。

・ビタミンC投与により、毒性物質に暴露されたリンパ球機能を正常に回復した(198)。



・Guloノックアウトマウスに、200mg / kgのビタミンC非経口投与で、制御性T細胞(Tregs)(敗血症で観察される)の免疫抑制を阻害した。(Treg増殖を増強し、転写因子や抗原、サイトカインの発現を阻害することによってTregの負の免疫調節を阻害した)(89)。



・ビタミンCはメチル化DNAとヒストンを水酸化する、鉄含有ジオキシゲナーゼの補酵素であり、エピジェネティックな制御に関与している(22,201)。

・能動的DNA脱メチル化機構(TET)酵素は、メチル化シトシン残基をヒドロキシル化し、メチル化残基の除去を容易にする(202)。

・ビタミンCがTETおよびヒストン脱メチル化を含むエピジェネティック機構を介してT細胞の成熟を調節していることを示唆している(79,199,200)。

 

炎症性メディエーター

・ビタミンCと培養された末梢血リンパ球は、炎症誘発性サイトカインTNF-αおよびIFN-γのリポ多糖(LPS)誘導性発生を減少させた。また、IL-1βレベルに影響を及ぼさずに、抗炎症性IL-10産生を増加させた(77)。

・肺炎患者から単離した末梢単核球へのビタミンC添加で、炎症誘発性サイトカインTNF-αおよびIL-6の産生が減少した(86)。

・インビトロで、単球にビタミンC/ビタミンE添加で、TNF-α生成が増強された(87)。

・また健康なヒトボランティアに対する1g /日のビタミンC投与で、LPSによる刺激による末梢血単核球由来のIL-10、IL-1およびTNF-αが増強した(87,94)。

・したがって、サイトカイン生成に対するビタミンCの効果は、細胞の種類や炎症性の状態によるようである。



・骨髄由来のマクロファージであるミクログリアにビタミンC処理をすることで、細胞の活性および炎症性サイトカインであるTNF、IL-6、IL-1βの合成が減少した(90)。



・インフルエンザウイルスに感染したビタミンC欠損Guloノックアウトマウスの肺において、炎症性サイトカインTNF-α、IL-1α/βの合成が促進し、抗ウィルス性サイトカインであるIFN-α/βの産生が減少した(88) 。

・多菌性腹膜炎のGuloマウスへのビタミンCの投与は、単離した好中球による炎症性サイトカインTNF-αおよびIL-1βの合成を減少させた(75)。

・200mg / kgの非経口ビタミンCを投与した敗血症Guloマウスでは、TregsによるTGF-βおよびIL-10の分泌が低下した(89)。この研究ではIL-4分泌低下とIFN-γ分泌亢進も認められた。



・動物モデルでは、ビタミンCの枯渇がヒスタミン濃度の上昇と関連し、ビタミンCの投与でヒスタミン濃度が低下した(56,95-98)。

・ヒトでも経口ビタミンC(125mg /日~2g /日)および静脈内ビタミンC(7.5g)投与で、ヒスタミンレベルの低下が報告されており(61,99-101)、これは感染のあるアレルギー患者ではより著明だった(101)

・ヒスタミンに対するインビボでのメカニズムは不明である。





ビタミンC欠乏状態

・抗酸化作用があるビタミンCは、様々な原因(汚染物質、重金属、農薬、生体異物)から肺細胞を保護した(204,209)。



・喫煙者、受動喫煙者ともに、非喫煙者より血漿および白血球のビタミンC濃度が低く(10,210,211)、酸化ストレスの増加と、ビタミンC消費率の上昇を認めた(10,211,213)。

・喫煙者のビタミンCの平均血中濃度は、非喫煙者の3分の1低く、喫煙による酸化的損傷を補うためには、追加で35mg /dayのビタミンCの摂取が必要となる(10,14)。

・環境中のタバコの煙に暴露される小児、青年もビタミンC濃度が低かった(214)。

・受動喫煙ビタミンC欠損モルモットモデルでは、ビタミンCはタンパク損傷と脂質の過酸化から保護した(213,215)。

・受動喫煙者へのビタミンC投与は、酸化ストレスの指標となるF2-イソプロスタン濃度を有意に低下させた(216)。

・たばこにより、細菌およびウイルス感染症に対する感受性が増加した(217,218)。



・2型糖尿病では、血漿ビタミンC値の低下が認められており(18,226)、高血糖症による高レベルの酸化ストレスが原因と考えられる(10,227,228)。

・血中ビタミンC濃度と糖尿病、ヘモグロビンA1c濃度(グルコース耐性の指標)、空腹時および食後の血糖、酸化ストレスのリスク間には逆相関する(219,229-232)。

・メタアナリシスでは、ビタミンCの投与により2型糖尿病の血糖コントロールが改善した(233)。



・ビタミンC濃度が17μモル/ L未満の高齢者(75-82歳)において、強く全死亡率が高い傾向にある(237)。



・入院患者は一般に、一般集団よりもビタミンCの状態が低い(244)





ビタミンCと感染

・肺炎は壊血症の最もメジャーな死因である(7)

・急性呼吸器感染症の患者は、血漿ビタミンC濃度が低下しており(245)、ビタミンCの投与で、血漿ビタミンC値が正常化し、呼吸器症状の重症度が改善される(246)。

・急性肺感染の症例では、静脈内ビタミンC投与により、胸部X線の迅速な改善が認められる(247,248)。これは、好中球のアポトーシスとマクロファージによる貪食が進むことによるものと考えられる(73)。

・敗血症性肺傷害の動物モデルでは、ビタミンC投与により肺胞クリアランスが増加し、気管支肺胞上皮バリア機能が増強、好中球のsequestrationを弱める(74)。



・風邪についてのメタアナリシスでは、毎日200mg以上のビタミンC摂取で、一般的な風邪の重症度と持続時間を改善し(249)、

・ビタミンC欠乏状態(<45μmol/ L)の人に対するビタミンC補充は、風邪の発生率を減少させた(203)。

・白血球/尿中ビタミンC値の両方がかぜの期間に著しく減少し、改善後正常レベルに戻る(251-254)。

・一般的な風邪に対する1グラム用量のビタミンC投与は、白血球ビタミンCレベルの低下を改善する(251)

・肺炎で入院中の高齢者でビタミンC値が非常に低いと判断され、ビタミンCを投与した場合、より重症な患者の方がより呼吸症状スコアが改善した(246)。

・肺炎患者に対し、低用量ビタミンC(0.25-0.8g /日)は、ビタミンC投与なしと比較して、入院期間をを19%、高用量群(0.5-1.6g /日)は36%短縮させた。また胸部X線、体温、赤血球沈降速度にも正の効果があった(255)。

ビタミンCと心血管イベント  死亡率を調査した大規模コホート研究

ビタミンCと心血管イベント(CVD)、死亡率(CVM)を調査したコホート研究。13421人を約11年追跡した。



・エネルギー調整モデルで高ビタミンC摂取群は、中、低摂取群と比較してCVDのリスクの低下と関連していた。

(閾値効果またはL字型関連を示唆する。)

・高ビタミンC群は、エネルギー調整モデル、ベースライン時の有病調整モデル、果物や野菜以外の食物繊維の多変量調整モデルでCVMリスクを低下させた。

・食物繊維調整モデルでは、高ビタミンC摂取群は、有意にCVMリスクを低下させた(HR:0.30,95%CI(0.12-0.72))。



Introduction

・観察研究では、食事中のビタミンC(6)や血中ビタミンC値(6-8)が、心血管リスク因子とCVD、CVMと逆相関するとの結果があるが、これらの研究には、食物繊維など交絡因子の調整において、限界があった。

・食物からのビタミンCと、人工のビタミンC(サプリなど)は生物学的に同様に利用可能である(9)

・しかし、観察研究(6)と臨床試験(10-13)では、ビタミンC(500~1000 mg/day)のサプリ摂取で、心血管イベントに影響はなく、さらに観察研究(14)と、介入研究(15)では、逆にビタミンC摂取群でCVD、CVM上昇が報告されている。

・一方、2つのメタアナリシスでは、高容量のビタミンC摂取群(500~2000mg /日 と 500~4000mg /日)で内皮機能の改善(16)と、血圧の低下(17)が認められた。



Materials and Methods

・事前にアンケートで、136品目の食品や飲み物、サプリメントの頻度や量を調べた。

・他、生活習慣(身体活動、テレビ視聴、喫煙状態)、心血管リスク因子(高血圧、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、糖尿病)、癌および心血管関連疾患、脳卒中、心血管疾患の家族歴や、薬物療法も事前に調査した。



Results

・ビタミンCを多く取る群は、より高齢で女性で、最近の喫煙歴が少なく、身体的活動が多く、テレビをみる時間が少なかった。また動脈瘤、心不全、高トリグリセリドは少なく、おそらく高齢であるため、がん、高血圧、糖尿病、高血圧、静脈血栓症は多かった。



CVD:

・ビタミンCを多く取る群は、年齢調整モデル(多変数調整モデル1)において、CVDリスクの低下を示した(表2)。ベースラインでの有病者調整モデル(多変数調整モデル2)、食物繊維量調整(多変数調整モデル3)を追加しても結果は同様。

・地中海食調整モデル(多変数調整モデル4)では、ビタミンC摂取を1/3ずつ分けて最も高い群は中、低い群と比較して、有意にCVDの低下を示した(HR(95%CI):0.60 (0.40-0.91)および0.62(0.40-0.97)





CVM:

・年齢調整モデルにおいて、高ビタミンC摂取群とCVMに有意な逆相関が認められた(表3)。

・年齢調整および性調整モデル(多変数調整モデル1)、ベースラインでの有病者調整モデル(多変数調整モデル2)でも同様であった。

・総繊維摂取量で調整すると有意差はなかった(HR(95%CI):0.48(0.19-1.20))く、地中海食を含む完全調整モデルでも有意な結果はなかった。

・他、フォローアップ(p = 0.70)、食物繊維摂取(p = 0.42)、ビタミンCサプリメント摂取(p = 0.12)のいずれも、全ビタミンC摂取量とCVMの間の関連に影響はなかった。





総繊維量を調整したモデル:

・CVDの累積リスク:高ビタミンC摂取群は0.07%、低摂取群は0.12%、有意差はなかった。

・CVMの累積リスク:高ビタミンC摂取群は 0.01%、低摂取群は0.05%、有意にリスクを低下させた(HR(95%CI):0.30(0.13-0.73))MDSを調整しても結果は変わらなかった。





Discussion

・ビタミンCは動脈硬化の鍵である、LDLコレステロールへの酸化的変化を防ぎ(31)単球の接着を減少させる(32)

・ビタミンCは、プラークの不安定化の原因となる血管平滑筋細胞のアポトーシスを防ぎ(33)、血圧の低下に寄与する、内皮の酸化窒素産生を改善する(34)。

・すでに観察研究において、ビタミンCと高血圧(6)や心不全(7)が逆相関することが報告されているが、これらは食物繊維摂取量を考慮していない。・ビタミンC摂取によるCVMリスクの低下は、観察研究で報告されていたが(8)、ランダム化比較試験では確認されていない(10.11)。

・ビタミンCと食物繊維は高度に相関(r=0.72)しているため、食物繊維調整モデルのビタミンCは184(57), 266.7(20.5), 387.7(75.6)とバラツキが小さかった。(このため有意差が出にくい)

・ビタミンCサプリが心血管系イベントに影響を及ぼすかの介入研究を行ない(10-13)有意差は認められなかったが、ビタミンC投与量は3.4~440mgと、他の介入研究に比べてとても少なく、コントロール群でもビタミンCやマルチビタミンサプリが許可されていた。

・弱点:

 食物などの暴露情報が自己申告、一般集団のサンプルではない、考慮されていない交絡因子がある可能性がある(ビタミンEなど)

ビタミンCによる、運動誘発性気管支収縮への効果

ビタミンCと運動誘発性気管支収縮(EIB)とのメタアナリシスで、ビタミンCの運動誘発性気管支収縮(EIB)に対する効果について、3つの二重盲検試験をプールしています。

・全体のnは40で、ビタミンC投与量は最低0.5g〜2g/日

・ビタミンCによるEIBの減少効果について、プラセボ群に対するパーセントポイントは8.4%減、相対効果は48%減、という結果でした。

・FEV1の低下レベルには大きなばらつきがあり、どの程度FEV1が低下するかということをここから推定するのは合理的ではなさそうだが、3つの研究ともにFEV1の低下を半減することは一致しており、EIBに悩む人々には有益な結果となっている。



Introduction

・運動誘発性気管支収縮は運動後に1秒量が10%以上低下することを指す。

・一般には10%、アスリートでは50%程度いると言われている。(1)

・病態はよくわかっていないが、水分の低下で炎症性メディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジン)が誘発され(1.2)、呼気中NOの増加も関連していると言われている(3)

・ビタミンCの欠乏はPGF2αを増加させ(4-6)、ビタミンC欠乏モルモットで、ヒスタミンへの気道過敏性が増加した(6)。

・モルモット気管支平滑筋においてビタミンCはPGF2α、ヒスタミン、カルバコリンによって起こる収縮を減少させた(4.7.8)

・ヒトでは1日1.5gのビタミンC投与で、LTC4―LTE4、PGD2(気管支収縮効果あり)の上昇を防ぎ、呼気中のNOの増加を防いだ(11)。

・ビタミンCは身体的ストレスのある人の風邪の発生率を下げ(14.15)、上/下気道感染の重症度を下げる(15-17)

・以前に行われた体系的なレビューでは、データ抽出と分析にかなりの誤りがあった(18)



Methods

・ランダム化もnonランダムもシステマティックレビューには含めるが、重症度に関しては二重盲検試験のみ。

(・論文で公開されていない生データも著者に問い合わせて、計算し直している。)



Results

・図1:運動誘発性のFEV1低下に対するビタミンCの効果のパーセンテージポイント。水平線はそれぞれの研究の95%信頼区間、菱形はプールされた値の95%信頼区間





・図2:SchachterとSchlesingerの研究ではビタミンCによるFEV1の低下が減少した。縦軸はビタミンCとプラセボ間のFEV1の減少の差、横軸はプラセボ日のFEV1の減少、点線はプラセボとビタミンCが同一であるラインを示す





・図3:Cohenらの研究でもFEV1の低下を減少させた。横軸、縦軸は図2と同じ。白四角は「ビタミンCの効果なしとされた9人のデータ、黒四角は他の11人のデータ」





・図4:運動誘発性のFEV1低下に対するビタミンCの相対効果。水平線はそれぞれの研究の95%信頼区間、菱形はプールされた値の95%信頼区間





Discussion

・3つの研究からビタミンCはプラセボに比べ8.4パーセントポイントEIBを減らすことが示されたが、どの程度FEV1が低下するかについては、各研究間で大きな差がある。このため、この値を推定値に用いることは難しい。しかし3つの研究いずれも、ビタミンCの投与でFEV1の低下が半減することを示している。

敗血症に対するビタミンC: SOFA、CRP、プロカルシトニンが著明に下がったという論文  Phase1


Phase I safety trial of intravenous ascorbic acid in patients with severe sepsis.

Fowler AA Ⅲ al. J Med. 2014 Jan 31;12:32. doi: 10.1186/1479-5876-12-32.

ARDSに対するビタミンCの二重盲検無作為比較試験で、死亡率が凄いことになっているPhaseⅡの試験が、「もうすぐCHESTに載る予定」と2018年9月のカンファレンスで伺ってから、ずっと楽しみにして待っています。PhaseⅡの内容は色々な意味ですごかったので、、、載ったら絶対ご紹介しようと思います。今回はそのPhase Ⅰ の試験です。



24人のICUの重症敗血症患者を、低ビタミンC(50) or 高ビタミンC(200mg/kg/24h)、プラセボで分けた、二重盲検ランダム化比較試験。

重篤な副作用はなく、高ビタミンC群でSOFAの低下、CRP、プロカルシトニンの有意な低下を認めた。有意差は出なかったが、ビタミンC群のトロンボモジュリンは上昇せず、血管内皮障害の減弱を示唆した、という論文。



イントロダクション

・15000人以上の患者と10億ドル(1150億円くらい)以上かけて研究されているが、有効な治療はまだ明らかでない(4.5)。

・アトルバスタチン(6)や活性型プロテインC(7)などの炎症や凝固メディエーターをターゲットとした治療はいずれも死亡率を改善することはできず、標的が限られた治療では治療が困難であることが示唆されている。

・敗血症動物モデルにアスコルビン酸静脈投与すると、敗血症の毛細血管血流、微小血管バリア機能、および血管収縮薬に対する細動脈の応答が改善した(8.9)。

・敗血症マウスへのアスコルビン酸静脈投与で、炎症性メディエーターの減弱と、肺胞上皮バリア機能の増強、肺胞クリアランスの増加、および敗血症による凝固の予防効果が認められた(10.11)。

・アスコルビン酸欠乏マウスは敗血症による多臓器不全になりやすく、アスコルビン酸静脈投与で臓器不全(肺、腎、肝)が減少した(12)。

・敗血症での異常に低い血中ビタミンC濃度は多臓器不全発生率と逆相関し、生存率と相関する(13)。



・ビタミンCが敗血症で低下する原因(14)

1. 血漿遊離鉄の減少によるアスコルビン酸消費

2. フリーラジカルによるアスコルビン酸の消費

3. フリーラジカルによるデヒドロアスコルビン酸の破壊



・外科的な重症患者594人にビタミンC(1g/8時間)静注と内服ビタミンEを28日間で、急性肺障害と多臓器不全の発生率が有意に低下した(16)

・重症熱傷(体表面積50%以上)の患者に、初めの24時間でビタミンCを持続投与(66mg/kg/hr)し、毛細血管透過性が有意に低下した(17)。



Methods

・対象

1, 全身性炎症反応(BT:>38℃または<36℃、HR:>90拍/分、WBC:> 12,000 /μLまたは<4,000 /μL または>10% BAND)

2, 感染症またはその疑い

3, 敗血症による臓器不全:動脈血低酸素(PaO2 / FiO2 <300)、収縮期血圧(SBP)<90 mmHgまたは40mgHg以上の低下)、Lactate >2.5mMol/L、尿量 <0.5ml/kg/hrが補液に関わらず2時間以上続いた場合、血小板<100,000未満、INR> 1.5、ビリルビン> 2mg / dL。これらをICU入室後48時間以内に満たした場合、インフォームドコンセントが行われ、その後2~4時間後から試験が開始された。



・点滴は6時間毎に30分以上かけて、96時間まで継続した。

・アスコルビン酸はBioniche Pharmaの製品が使用された。

・ビタミンCが酸化されるのを防止するため、点滴液は茶色のカバーで多い、IVバックから空気は抜いた。

・臓器不全の評価はSOFAスコアを用い、24、48、72、96時間で評価した。

・投与中は5分毎にバイタルが観察され、点滴終了後45分まで継続した。

・点滴は4日行われ、その後28日間患者は観察された。

・血中ビタミンC濃度の測定は点滴前、12, 24,36,48,72,96時間後に行われた。



Result

・1年かけ35人がスクリーニングされ、26人が試験に参加した。

・除外された9人は、3名が進行癌で24時間以上生存しないと考えられ、2名のホームレスの患者はインフォームドコンセントが得られず、4人は家族が拒否した。

・高ビタミンC群のうち、後に家族が撤回した患者が1名、血球貪食症候群が指摘され撤回した患者が1名おり、この2名は除外された。

・有害事象はなし

・試験前の平均血中アスコルビン酸濃度は、17.9±2.4μM(正常範囲50〜70μM)

・プラセボ群の血中濃度は4日かけて徐々に低下、低アスコルビン酸群、高アスコルビン酸群ともに4日後には著明に増加、高アスコルビン酸群は12時間でもプラセボに比べて著明に増加した。





・SOFAスコア:アスコルビン酸群はいずれも著明に低下した。プラセボ群は緩やかに増加した。



バイオマーカー :

・アスコルビン酸群はいずれもCRPの著明な低下を24時間で認めた。





・高アスコルビン酸群で48時間でプロカルシトニンが有意に減少させた。

・トロンボモジュリンは有意差は出なかったが、アスコルビン酸群はいずれも上昇せず、プラセボ群は48時間ごから増加した。





Discussion

・CRPやプロカルシトニンは死亡率や臓器不全に強く関連することが知られている(19.20.21.34.)

・CRPの半減期は19時間であり、炎症のモニターに役立つ

・トロンボモジュリンは血管内皮細胞の障害に関連し(35)、臓器不全や死亡率に関連する(36)

・アスコルビン酸はミリモル濃度で血管内皮細胞に急速に取り込まれ、そこで活性酸素を除去し、テトラヒドロビオプテリンを回復させることで、一酸化窒増素を増やす。

・敗血症で起こるNFκBの活性を阻害することで、サイトカインストームを弱める(10.11.37)。

・敗血症でのアスコルビン酸欠乏好中球は、正常なアポトーシスを起こさず、壊死して加水分解酵素を放出し、臓器障害を増悪させる。

・毎年、重症敗血症で数万人が亡くなっている(1.38-40)

カテコラミンやバソプレシンの生成にビタミンCが重要であるというレビュー

Ascorbate-dependent vasopressor synthesis: a rationale for vitamin C administration in severe sepsis and septic shock?

Anitra C. Carr et al. Critical Care (2015) 19:418

2017年にSeptic shockにビタミンC投与したら死亡率が40%から8%に減った、という論文がChestに載って(下記)話題になりましたが、
Hydrocortisone, Vitamin C, and Thiamine for the Treatment of Severe Sepsis and Septic Shock: A Retrospective Before-After Study

それ以前(2015)の重症敗血症になぜビタミンCがよく効くかというレビューです。

カテコラミンやバゾプレシンの生成に、ビタミンCが非常に重要であることが説明されています。



著者は『Vitamin C: Current Concepts in Human Physiology』の編集者であり著者でもある、ニュージーランドのAnitra C Carr先生です。



アブストラクト

Septic shockになると補液、ノルエピネフリンが投与される。バゾプレシンも血圧をあげるため、ノルエピネフリン投与量を減らすため投与される。

内因性のノルエピネフリンやバゾプレしんは銅含有酵素である、ドパミンβヒドロキシラーゼとペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼで作られる。どちらの酵素も正常な活性を得るためビタミンCが必要である。高容量のビタミンC投与で炎症誘発性のバイオマーカーや臓器の機能低下が減少し、血行動態が改善することがわかっている。



イントロダクション

・Septic shock の最近の死亡率は30~50%(5)

・Septic shock に対するバゾプレシンとノルエピネフリンのトライアルは死亡率同じだった(10)



敗血症へのビタミンCの必要性

・ビタミンCは抗酸化物質であるだけでなく、多くの酵素の補因子である(15.16)

・重症呼吸器感染症、敗血症では特にビタミンC値が低く(12,24,25)、100-500mg/日の投与でも低かったり(27.28)、通常の血中濃度にするのに3000mg/日必要だったという報告もある(27)

・動物では、ストレスにさらされるとビタミンCの合成が増加する(29.30)

・ビタミンC合成酵素のグロノラクトンオキシダーゼのmRNAの反応性の発現増加も観察されている(リポポリサッカライド暴露マウス)

・腫瘍マウスでも反応性のビタミンC合成が確認されている(31)

・鎮静剤、鎮痛剤、筋弛緩剤でもビタミンC合成が増加するという報告もある(32.33)

・Alpha A Fowler 先生のPhaseⅠの論文で、公開されていないデータではあるが、200mg/kg/dのアスコルビン酸を投与された群では、収縮期血圧および平均動脈圧の増加を示した(12)



昇圧剤合成に関するビタミンCの役割

・カテコラミン系の神経伝達物質やホルモン(ドパミン、ノルエピネフリン、エピネフリン)は交感神経系および、副腎髄質で合成される。脳や副腎はビタミンCの濃度が高い(53)。

・ビタミンCもストレスに反応して副腎より分泌される(47)。

・ビタミンCはドパミンをノルエピネフリンに変換する銅含有酵素であるドパミンハイドロキシラーゼの補因子として働く(50)。

・LチロシンをLドーパに変換する鉄含有酵素であるチロシンハイドロキシラーゼの補因子であるBH4(テトラハイドロビオプテリン)の再利用に関連する。またチロシンハイドロキシラーゼ自体の合成促進にも関連すると示唆されている(50)。

・α/βアドレナリン作用性受容体に結合し、エピネフリンの活動を促進する(51.52)。

・ビタミンC欠乏マウスでも脳内のビタミンCレベルは保持されている(54-56)

 





ビタミンCとバゾプレシンの合成

・バゾプレシンの受容体の一つ、V1b受容体は下垂体前葉にあり、CRHによるACTH分泌を増強する。それがストレスへの反応としてコルチコステロイドが副腎皮質から分泌される(11)。

・敗血症性ショックの早期では循環バゾプレシンの値が高くなっているが、後期では著明に低下している(58.59)。これはバゾプレシンの下垂体貯蔵が低下していることと、合成が低下していることが原因である(60)。

・アスコルビン酸はバゾプレシンの合成酵素であるペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)の補酵素である。

・下垂体はPAMがとても豊富な部位であるが、ビタミンC濃度がもっとも高い部分でもある(53)。

・敗血症などビタミンCが低下する状態ではPAMの低下が起こると考えられる(58-60)

・動物では、中枢へビタミンCの投与で、循環バゾプレシン値が上昇し、抗利尿効果が認められた(62)

・カルボキシ基を持つアミド化バゾプレシンが活性型(63)

 

AML化学療法後・ビタミンC点滴、白血球↑血小板数↑症例報告

ニュージーランドのAnitra C Carr先生の本『Vitamin C: Current Concepts in Human Physiology』

antioxidants という雑誌の2018年10月号は、ビタミンCの(主にガンに対する)生理学的な研究が紹介されている、上記の本です。論文自体 free access ですが、この本自体もフリーでダウンロードできます。印刷された本を買うと、38.57US$なのに。

Intravenous Vitamin C Administration Improved Blood Cell Counts and Health-Related Quality of Life of Patient with History of Relapsed Acute Myeloid Leukaemia

イントロダクション;

・ビタミンCが白血病の進行をエピジェネティックに抑える論文2つ
・動物実験モデルにおいて、ビタミンCが造血幹細胞の分化を増強し、circulating blast cellの数を減らし、白血病の進展を遅らせ生存率をあげる(4,5)
・白血病の患者さんはコントロール群に比べて58%ビタミンCが低下している(6.7)
・ケモや造血幹細胞移植でさらにビタミンCの低下が起こりうる(8.9)

⇨このため、ビタミンCの補充は正常の造血幹細胞の機能や分化に、効果があるかも。ということでしてみた症例報告。


症例報告;

47歳 女性 2009年5月 オークランドの病院でAMLの診断
(bone marrow 75% blasts, normal keryotype, NPM+, FLT3+ with allelic ratio 0.01)

DNR/ARA-C寛解導入療法、4サイクル(DA×2MACE×MidAC)を行い(2009 10月終了)、途中、侵襲性肺アスペルギルス症を発症しボリコナゾールで三ヶ月治療、化学療法の1クール毎に好中球減少性の発熱があり、抗生剤で治療された。抗甲状腺抗体+の甲状腺機能低下症も指摘された。

2014年5月まで血液内科に通院、寛解とされていたが、2014年8月に好中球減少で熱発し、骨髄検査で再発と診断された。

化学療法、骨髄移植を勧められたが、化学療法のみ行うことを希望し、2014年8月末にケモを開始、2014年10月に完全寛解となった。その後の化学療法はなし。



2014年10月にオークランドの統合医療のクリニックを初診
初診時のHb 93g/L, 血小板 27×109/L


2014年11月7日から1回70g、週2回でビタミンC点滴を開始。

初回のIV前のビタミンC値は0.66mg/dL(37.5μmol/L)
血中濃度350~400mg/dLを目標に65gになったりもしている。


アルファリポ酸:600mg、アスコルビン酸ナトリウム:2g、活性型ビタミンB複合体:1g、ビタミンD:5000IU、ビタミンK1:1500mcg、ビタミンK2-MK4:1000mcg、ビタミンK2-MK7:200mcg も開始。

その後の血液検査の推移

 

2014/11/7  Hb 107g/L, 血小板 25×109/L, WBC 0.29×109/L
2014/12/19 Hb 111g/L, 血小板 196×109/L, WBC 4×109/L
2017/9/7 Hb 124g/L, 血小板 227×109/L, WBC 6.5×109/L



QOLのスコアは上がり、症状のスコアは下がった(EORTC QLQ-C30)



2014/10/10 QOLスコア 58.3、症状スコア 38.5
2014/12/17 83.3、7.7



2015/8月まで70g 週2回で続け、患者の体調が良いと感じる時には週1回にしたりして、2017/9/21までに141回の点滴を受けた。

現在は月1回の点滴とサプリメントを継続している。



Discussion;

・高濃度ビタミンC点滴は多くの化学療法後の患者さんに求められている(19)

・IVCは内服の20倍の血中濃度になる(20)

・ IV投与は腫瘍へのビタミンCの拡散を促進するために必要になりうる(22.23)

・現在のところ固形ガンへのビタミンCのエビデンスは限定的で、エピジェネティックな感受性の高い、血液腫瘍への効果が高い(4.5)。

・ビタミンCはAML患者に変異がみられる腫瘍抑制遺伝子酵素?(TETs)の活性をあげる(24,25)



・この患者はTETに変異があるか評価されていないが、転移がある場合、特にビタミンCが効果がある可能性がある。

・またこの患者は健康的な食事(菜食)、ヨガ、瞑想、ハーブ療法(mistletoeなど)も取り入れていた。(ビタミンCのみの効果とは言えない)

感染症:ポリオウイルス治療

ウイル感染に対する治療は、現在でもほとんどが対症療法です。副作用のない抗ウイルス薬は、ビタミンCだけと言えます。しかし、ほとんどの医療者は、その事を知りません。もしも、あなたや、あなたの家族が重症ウイルス感染症(ポリオや麻疹や重症インフルエンザなど)に感染した場合は、ビタミンCの事を思い出して、自費治療でも、必ず受けることを私は強く勧めます。

文献:The Origin of the 42-Year Stonewall of Vitamin C と Bulbar Poliomyelitis . Favourable Results in its Treatment as a Problem in Respiratory Obstruction.

この2つの文献の私の要約は、以下です。

1949年米国はポリオの大流行があったが、それ以前から、Klenner博士は41例以上のウイルス性肺炎をビタミンC大量投与で治療に成功していたので、この流行期に、ポリオの治療にビタミンCを筋肉注射または経口投与し、さらにマッサージ治療(マッサージに関しては、さらに元文献を当たる必要があり、まだ読めていません)を行い、60人中60人の患者を、後遺症なく3~5日以内に正常に回復させることに成功した。ただし、そのうち重症タイプの2名は、ビタミンCの効果が現れる36時間以内に、気管切開などの療法をも必要とした。しかし、他の医師たちの行っていた治療では、この流行では、患者の死亡率は34%だった。流行の後、Klenner博士は、Journal of the American Medical Associationにて、自分の治療法と成績を発表したが、質問を受けることもなく無視された。その後、自分の治療法と成績について、1952年8月号の Journal of Southern Medicine and Surgeryに、"The Vitamin and Massage Treatment for Acute Poliomyelitis"を論文投稿している。しかし、米国のポリオの流行ピークは1952年であり、患者は増え続けた。数名の米国やカナダの医師は、Klenner博士の治療方法を使用し、良好な結果を得て、Klenner博士に手紙を送った。しかし、公的な期間には無視され続け、1948年から1960年までの3年間に5回開催された国際ポリオ会議の報告書のどこにも、Klennner博士またはビタミンCについての言及はなかった。